関脇栃煌山(28=春日野)は、横綱白鵬(30=宮城野)の思わぬ「奇襲」に屈した。

 「変化はあるかなと思っていたけど、あれは頭になかった」。振り返った「あれ」とは、猫だまし。した経験も、された経験もない。支度部屋に下がっても、風呂から上がっても、いつまでもぼうぜんとしていた。相撲を取りたかったかという質問には「そうですね」と答えるのが精いっぱいだった。

 名古屋場所で、はたき込んで以来の対戦。朝稽古では、横綱の変化も含めてさまざまな対策を練り、2連勝を狙っていた。だが、さすがに猫だましまでは考えていなかった。立ち合いでは、猫だましの後に左に動いた横綱の体を素通り。懸命に振り向いたが、十分な体勢は取れなかった。車に乗り込む直前に「悔しいです」とだけ話して、会場を後にした。