大相撲の横綱日馬富士(31=伊勢ケ浜)が自ら描いた油絵などの絵画展「Two World」が23日、東京・銀座の日動画廊で始まった。

 出席した日馬富士は「まさか自分が個展を出すなんて、夢にも思わなかった。縁があって、日動画廊さんで開けることを心からうれしく思います」と喜びを語った。

 27日まで入場無料で開かれる絵画展は、同じモンゴル出身の画家ザヤ氏との二人展。大関になる前の「安馬」時代から付き合いがあるという日動画廊の長谷川徳七社長が、その経緯を語った。

 「まさか日馬富士が絵を描いているとは知らず、個展をやりたいと言っていたので、いくらでも会場をご紹介いたしましょうと言っていたんです。でも『どうしても日動画廊でやりたい』と。大変失礼ですが、私どもは素人の方の展覧会は88年間、やったことがない。お断りいたしました。ですが、横綱は熱心に『ぜひ、やりたい。モンゴルと日本の融合として。モンゴルのプロの画家も連れてくるので、どうでしょうか』とおっしゃる。そこで絵を拝見したら、非常に真面目に取り組まれていて、色づかいもなかなか面白い。てらいのない絵を描いていて、心がこもっている。これであれば、と。日本とモンゴルの交流ということもあって、横綱の心を受けて、ここで展覧会を開かせていただこうと決めました」。

 展示されている日馬富士の作品は、自らのしこ名にもある富士山の絵を中心に20数点。そのうち15点の絵を販売し、収益はすべて、病気の子どもを援助する民間非営利団体(NPO)の「ハートセービングプロジェクト」に寄付する。初日で、既に6作品が売約済みとなった。

 日馬富士は「カルマ」と題した富士山の逆さ絵を引き合いに、チャリティー活動について説明した。「物事は、やったことは来世に返ってくるということを、逆さ富士にしました。悪いことをすれば影に映るし、いいことをすれば必ず返ってくると。(購入してくれる)皆さんの協力で1人の命、2人の命を助けることができる。皆さんにもいいことがあると思います」。