無数の座布団が乱れ飛んだ。それは、いつまでもやまなかった。全勝対決となった結びの一番。勝ったのは大関琴奨菊(31=佐渡ケ嶽)だった。

 「自分を信じて。自分の相撲が取れた」。立ち合いで右頬を張られても、構わず踏み込んだ。左を差し勝ち、胸を合わせてがぶり寄り。足を止めずに攻めて、最後は力強く押し出した。過去50番取って4勝しかしたことがなかった横綱白鵬(30=宮城野)に、何もさせなかった。「やるべきことができたら、勝ち負けじゃないと思った。とりあえず良かった」。11日目で単独トップに立った。

 06年初場所の栃東以来、10年ぶりとなる日本出身力士の優勝へ、大きな関門を突破した。だが、当の本人にその気持ちはない。「やりきった感だけ。まだまだ場所は長いし、明日(日馬富士戦)もある。明日も厳しい戦いです」。現役最強横綱を倒しても、浮かれた心はみじんもない。

 残る4日間。自分を信じて突き進む。