大相撲の高崎巡業が16日、群馬・高崎市の高崎市浜川体育館で行われた。

 春場所の番付で熊本県出身の力士は、全都道府県で11位タイの18人を輩出している。そのうち関取衆は、幕内の正代(24=時津風)、佐田の海(28=境川)、十両の天鎧鵬(31=尾上)の3人。それぞれ2日前の地震発生からこの日まで、実家と連絡を取り関係者の無事を確認したが、故郷をおもんぱかり心痛な胸中を明かした。

 熊本県宇土市出身の正代は、春場所後の3月下旬、化粧まわしの贈呈式に出席するため宇土市役所を訪問したばかり。その市役所の庁舎が崩れた様子をインターネット上の写真で目にし「アレには驚きました。あの建物が壊れたから、家も危ないと思いました。一瞬、南海トラフかと思って、阿蘇山も(昨年)噴火したし」と説明。幸い、実家は落ちてきた食器の皿や窓ガラスが割れ、ライフラインでは水道が止まったというが「家族は普通に元気。思った以上に被害はなかった。余震は気になるけど、今日以上の余震はさすがにないと思う。食糧が尽きることもないと思うし、家族の声も聞いたから、これ以上は心配しなくていいと思います」と気丈に話した。

 熊本市中央区の実家に母が住んでいる佐田の海は「阿蘇にも親戚がいるので心配。身内は無事で、家も部屋はぐちゃぐちゃですが大丈夫です。通っていた中学校は(震源に近い熊本市)東区で友だちもいっぱいいます」と案じた。やはり春場所後に帰省したばかり。「余震でも(震度が)5とか6とかで怖い。朝起きて、夜中の地震がひどかったと聞いて焦りました。余震が収まれば安心できるんですが」と目を伏せた。

 天鎧鵬は熊本県玉名市に実家がある。「家は大丈夫ですが、車の中で寝泊まりしているようです。友だちの会社がぶっ壊れました。九州は地震がないと思っていました。建物の倒壊があんなにすごいとは…」と、こちらも不安そうなまなざしで話した。