東京・江東区内へ転居する貴乃花部屋が16日、足かけ35年続く現在の東京・中野新橋の部屋では最後となる稽古を行った。入居準備や所用のため師匠の貴乃花親方(43=元横綱)と幕内貴ノ岩、十両佐藤は不在だったが、若い衆が早朝から始動。約2時間、すり足や四股、てっぽうなどで汗を流し稽古納めとなった。

 元大関貴ノ花の先代師匠が82年2月に「藤島部屋」として創設。93年2月に合併し「二子山部屋」に、04年2月に現師匠が「貴乃花部屋」として継承し現在に至る。兄弟横綱に名大関、個性派の三役力士など一時は幕内10人を輩出。中野新橋といえば、優勝パレードや報道陣が集結する「相撲の街」として繁栄した。

 部屋3人目の関取に最も近い幕下の貴源治(19)は「すごい先輩たちが過ごした4階(の個室)に入りたかった」と、関取の特権となる夢かなわず無念の様子も「新しい場所で黄金時代を作りたい」と話す。先代師匠の助言から利便性も考慮し「国技館に通う若い衆や、いずれ部屋を引き継ぐ後進のためにも」と両国に近い地への転居を決めた貴乃花親方。ひとまず、栄光に彩られた地での足跡に終止符を打ち心機一転、新天地で船出を切る。