7月31日に膵臓(すいぞう)がんのため61歳で急逝した元横綱千代の富士の先代九重親方(本名・秋元貢)の葬儀・告別式が7日、東京・墨田区の九重部屋でしめやかに営まれた。約1000人の参列者が別れを惜しみ、その後には一般のファンも焼香を行った。

 部屋を継承した九重親方(元大関千代大海)は「あまりに突然のお別れとなり、悲しくて、悔しくて仕方ありません。平成4年11月、私が初めて九重部屋を訪ねた日、師匠の圧倒的なオーラ、鋭い眼光を目の当たりにし『この人の下なら頑張っていける』と思ったことを今でも鮮明に覚えています。あの日から24年、私をここまで育ててくださり、心から感謝しております。師匠から教わった相撲道を、我々弟子たちが体全体にあらためて焼き付け、一生忘れることなく守っていきます。これからもずっと、天から見守っていて下さい。師匠、本当にありがとうございました」とあいさつした。

 遺族を代表して長男の剛さん(30)は「突然の父の訃報に、皆様を驚かせてしまったことを深くおわび申し上げます。昨年の還暦土俵入りの後の検査で膵臓(すいぞう)がんが見つかり、手術をいたしました。術後の経過は良好だったのですが、今年の1月末に転移が見つかり、治療に専念しておりましたが、7月の大相撲名古屋場所の途中で体調を崩し、7月31日、東京の病院にて家族全員が見守る中、静かに息を引き取りました」と経緯を明かした。

 そして「父の死後、たくさんの方が弔問にいらしてくださいました。父がたくさんの人から愛され、偉大な存在だったことをあらためて感じさせる日々でした。今後は父が残した輝かしい功績を汚すことなく、いつまでも皆様の記憶に残り続けるよう、後世大切に、語り継いでいきたいと思います。あまりに急すぎて、私どももまだ信じられない気持ちでいっぱいですが、父が見守っていることを信じて、残された家族で力を合わせて、頑張っていく所存でございます」と話した。