西前頭2枚目の荒鷲(30=峰崎)が横綱鶴竜(31=井筒)を倒して、初めての金星を手にした。左前まわしをつかみ、相手の引きに乗じて一気に前へ。体を預けるように寄り切った。30歳4カ月23日での初金星は、58年以降初土俵で玉鷲に次ぐ7位の年長記録。初土俵から85場所というのは昭和以降新入幕で大徹と並ぶ7位タイのスローで、外国出身力士では最も遅い記録となった。「うれしい。今年の初白星でもあって、良かった」としみじみと喜んだ。

 自己最高位で迎えた今場所は、初めての横綱、大関戦。場所前に痛めた左膝の影響もあって、序盤の5日間は精彩を欠いていた。だが「ちょっと硬くなっていた。思い切っていくだけ」と考えたこの日、がむしゃらに相撲を取って横綱を倒した。「思い切っていけた。これからもまた、しっかり稽古したい」と、まじめで穏やかな性格の男は静かに話した。