昨年秋場所限りで引退した元幕内玉飛鳥の荒磯親方(34)の引退襲名披露断髪式が28日、東京・両国国技館で行われ、400人余りがはさみを入れた。

 関取衆のはさみ入れには新横綱の稀勢の里も登場し「お疲れさまでした」と声をかけてもらった。「お忙しいのに来てくれた。本当にありがたい。だいぶ盛り上がりましたね」と感謝した。

 両者の過去の対戦は05年名古屋場所の1度きり。そのときは寄られて土俵を割りながら、勇み足で勝った。それを横綱も覚えていたと聞くと「それはうれしい。勇み足で懸賞をもらったんです」と笑った。

 十両と幕下を何度も行き来した相撲人生。「正直、ダメになったときもあった。腐ったときも」という。その中で、一番の支えは家族だった。

 特に1番の思い出に挙げたのは、10年12月に長男幸太郎くん(6)が誕生した直後の11年初場所。「幕下に陥落して2枚目で迎えて、初日から3連敗しました。でも、そこから4連勝して再十両を決めた。それから5年間、相撲人生で一番長く、関取を続けられたんです。十両優勝や幕下優勝よりも、その4勝3敗が一番思い出に残っています」としみじみと語った。