「横綱稀勢の里」が世界にデビューする! イタリアのベネチアで2年に1度開かれる現代美術の世界的祭典「ベネチア・ビエンナーレ」(5月開幕)に合わせて、同市のモロシーニ宮殿を会場としたギャラリーに稀勢の里のコーナーが設けられることが28日、分かった。同宮殿では相撲錦絵と相撲写真のコラボ展を開催予定。大相撲の横綱稀勢の里が、世界中の訪問客の目に触れることになる。

 同展は相撲錦絵師の木下大門氏と、大相撲を10年間撮り続けるフランス人写真家マリニグ氏のコラボで、5月11日から7月16日まで開かれる。昨年3月に、シャネルの日本法人社長で作家のリシャール・コラス氏の提案で実現。当初は稀勢の里だけのコーナー案はなかったが、初場所後の横綱昇進で急きょ、木下氏が「10年ぶり」に新作の木版画を製作した。稀勢の里の写真の中に「浮世絵」を飾り、世界に新横綱を伝える。

 モロシーニ宮殿は15世紀に建造された世界遺産。そこに写真と交えて日本の伝統的な相撲浮世絵を展示することで、大相撲を世界に伝えることが狙い。双葉山に始まる錦絵34点や「綱」の説明、土俵の神さまを呼び込む目印として櫓(やぐら)につるされる「出しっ弊(ぺい)」も飾られる。

 展示会の題名は「ここで神々」。木下氏は「大相撲は多くの神さまで成り立っているんだと伝えたい」。その中で、神懸かり的な2連覇を果たしたばかりの横綱稀勢の里の名が、世界に広められる。