大相撲の元関脇若の里で、横綱稀勢の里(30)、大関高安(27)を擁する田子ノ浦部屋の部屋付き親方として後進の指導に当たる西岩親方(40)が17日、横浜市中区のボートレース場外発売場「ボートピア横浜」で開催されたイベントに参加。モーターボート競走会の植木通彦理事とトークショーを行った。

 互いに現役時代は名力士、名レーサーとして活躍し、現在は後進の指導に当たる立場として語り合った。

 どんな力士が強くなるかという問いに、西岩親方は「一番はやる気。いくらいい体をしていても…と思っていたのを覆したのが」と言って、間を置いて出した力士が「高安でした」。稀勢の里と2人の名前を挙げ、入門時は「2人とも運動神経が良くて体も大きく、こんな素質があるのかと思ったけど、大きな違いがあった」と続けた。

 「稀勢の里はやる気満々で入ってきた。高安はやる気がなくて入ってきた上に脱走も5、6回。稀勢の里はいずれこうなる(横綱昇進)と思ったけど、高安がこうなる(大関昇進)とは予想がつかなかった」と見込み外れを反省? もっとも高安については「でも高安も(やる気がないように見えたのは)最初のころのことで、慣れてくるとやる気も出して稽古して、今の結果につながりました」と目を細めてフォローした。

 若い力士の指導法は「ケガをしないように転び方、負け方を教えています。それが結果的に勝つことにつながっている」とし、将来の横綱、大関を期待する若手力士に、貴乃花部屋で20歳の双子兄弟の貴公俊、貴源治の名を挙げた。また現役最後の一番(15年名古屋場所千秋楽の天鎧鵬戦)で、それまで一度も使わなかった、制限時間いっぱいで呼び出しから渡されるタオルを顔にあて、涙をぬぐったエピソードも明かした。

 休場明けとなる稀勢の里については「初日までは十分に時間がある。優勝した時のような強い稀勢の里で15日間、戦えると思う。名古屋場所に関しては全く心配していない」とし、新大関の高安にも「だいぶ、いい状態を保っている。このまま稽古を続ければ」と期待した。