休場明けの横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、いきなり黒星を喫した。新関脇御嶽海に立ち合いでもろ差しを許して寄り切られた。夏場所に続く初日黒星で、2場所連続で黒星発進となった横綱は08年夏、名古屋の朝青龍以来9年ぶりとなった。稀勢の里のほか、横綱日馬富士、大関照ノ富士、豪栄道、高安が黒星を喫した。00年九州場所14日目以来17年ぶりに2横綱、3大関が敗れる波乱で、荒れる名古屋が幕を開けた。

 休場明けの初日。左上腕付近の回復具合が測られる大事な一番で、稀勢の里はなすすべなく敗れた。引き揚げる花道では首をかしげた。支度部屋では「うーん…まぁ」とだけ言葉を発して、あとは目を閉じた。同じように初日に敗れても口数が少なくなかった先場所とは違った。2場所連続の黒星発進に無言のまま、愛知県体育館を後にした。

 5戦全勝だった御嶽海との一番。差そうとした左は厳しく封じられ、代わって生命線となる右もまわしに届かなかった。もろ差しを許して後退。俵で4秒間粘ったが、防戦一方の腰高の状態では防ぎようもなかった。今場所、上位に台頭してきた若手に「負けないように、気合を入れてやりたいと思います」と話していたが、止められなかった。