十両でただ一人、勝ちっ放しだった西5枚目朝乃山(23=高砂)が、今場所初黒星を喫した。関脇など幕内経験豊富な東十両筆頭の魁聖(30=友綱)と対戦。がっぷり胸を合わされ寄り切りで敗れ、初日からの連勝は8でストップした。

 自分の今の力を試したかった。真っ向から行って敗れても悔いはない。そんな取り口だった。魁聖は自分より身長で6センチ、体重でも約30キロ重い相手。身長、体重とも自分より大きな相手と対戦することは、これまでめったにない。目の前の白星を求めるなら、横から崩すなど作戦もあったはず。だが、あえてそれはしなかった。立ち合いで左の上手を瞬時に取ったが、右四つ十分の体勢は魁聖も同じ。胸が合えば圧力負けする。その通りの展開で両まわしを引きつけられ、寄り切られた。

 コメントにも、真っ向勝負の気持ちが表れた。「(相手は)重たかった。ガップリになって、まだ(自分が)甘いことが分かりました。上手をガッチリつかまれて腰が高くなったことも悪い」。当たって砕けろの気持ちで臨んだことも「当たって上手を取って攻めようとすることで精いっぱいだった」の言葉に表れた。近い将来、幕内で活躍することが期待される「富山の人間山脈」は安易に白星を求めなかった。ただし、直すべきところは正す。「今日のことを修正して、明日からまた勝負。自分の相撲をしっかり取りたい」と、最後まで自分を貫く構えだ。