横綱白鵬(32=宮城野)が平幕輝をはたき込みで下して初日から9連勝とし、元横綱千代の富士に並んで歴代2位となる通算1045勝目を挙げた。01年春場所の初土俵から、千代の富士よりも27場所早い98場所目で達成した。歴代1位の元大関魁皇の1047勝まであと2勝だ。大関高安が小結嘉風に負けて、白鵬を追う1敗は平幕碧山だけとなった。

 支度部屋で白鵬は、万歳で喜びを表現した。輝をはたき込みで下して、ついに到達した1045勝。「場所前からこの数字が目標だった。達成してほっとしてます」と喜んだ。

 場所前の力士会後、「歴代1位の魁皇まであと11勝に迫ったが」と聞かれた時だった。「同じ横綱の千代の富士関が先」。その後も、通算勝利数への質問には「まずは同じ横綱の千代の富士関を目標に」と繰り返してきた。入門以来、「左前みつの取り方は千代の富士関のをまねました」とビデオも見て研究した。この日はまわしを取る相撲ではなかったが「千代の富士関に近い、速い立ち合いをした。上手は取れなかったけどね」と体現しようとした。

 千代の富士の53連勝を塗り替えた10年秋場所で、励まされた思い出がある。「花道で『おめでとう。まだまだあるからな』と声をかけてもらったね」と懐かしがった。今は天国から見守っている先輩横綱。「『よくやった。あと2つ、3つ』と言っていただけるかな。明日勝って相撲界の兄弟子を超えることで恩返ししたい」。今日10日目、歴代1位の1047勝に王手をかけて、大きく育った背中を見せる。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 周りから見ればスンナリという感じだが、白鵬本人の努力があったればこその記録。本人の努力以外の何物でもない。(兄弟子だった千代の富士との)共通点は集中力ではないか。

 幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)のコメント 白鵬には余裕がある。まだまだ若い。筋肉の衰えがなく張っている。引退する時は尻の筋肉がしぼんでくるものだが、まだ張っている。