入幕2場所目で西前頭6枚目の阿武咲(21=阿武松)が、2場所連続の勝ち越しを決めた。

 相手は、近大相撲部員時代に、まだ小学生だった阿武咲が稽古をつけてもらい「お兄ちゃんのような存在」の徳勝龍(30=木瀬)。10歳年上の先輩でも土俵に上がれば、先場所も勝ったように私情を挟む余地はない。この日も左を差してまわしを引くと、右はおっつけながら前に出て、付け入るスキのない相撲で寄り切った。

 支度部屋では、さすがに一区切りついてホッとしたのか「しっかり落ち着いて取れました。1日1日、集中して取れています」と言葉を発した。6月中旬には、出稽古に来た横綱稀勢の里に稽古をつけてもらった。その稀勢の里は途中休場の憂き目にあったが「やっぱり、してもらった(稽古をつけてもらった)分、しっかりやらないと、という気持ちはあります」と恩返しの気持ちは強い。

 場所前には同学年のライバルで西前頭筆頭の貴景勝(20=貴乃花)と連日、火の出るような三番稽古をした。「場所前にいい稽古が出来た。2人で勝っていけたらいいと思っています。早く追いかけて行きたい」と切磋琢磨(せっさたくま)する。番数次第では、そのライバルと秋場所では番付が逆転する可能性もある。11日目は、あこがれでもある同郷(青森・中泊町)の宝富士(30=伊勢ケ浜)との初対戦が実現する。