昨年のアマチュア横綱が、関取の座に王手をかけた。デビュー2場所目の東幕下11枚目・矢後(23=尾車)が、この日も寄り切りで勝って無傷の6連勝。最後の7番相撲に新十両昇進をかけることになった。

 5戦全勝同士となった東幕下20枚目の磋牙司(35=入間川)との一番は「ある程度は想定していた」と話すように、先手争いの激しい攻防から、頭をつけて食い下がられた。左の下手をつかんだとはいえ、腕はくの字になった窮屈な体勢。そこで矢後が言い聞かせたのは「我慢」の2文字だった。「ここは我慢のしどころと」とジッと勝機をうかがった。一度は抜かれた左を、差しかえしたところで残された力を振り絞って、こん身の寄り。最後は一気に勝負をつけた。

 幕下15枚目以内は、7戦全勝で十両昇進の権利を優先で得られる。もう1つの5戦全勝同士の対戦は、昨年名古屋場所で幕下全勝優勝している竜勢が勝利。最後の大一番は、この竜勢と戦う。自分より11番先に行われた、この竜勢の相撲は「一応、見ていました」と目に焼き付けた。「(意識が)ないと言えばウソになるけど、考えないように目の前の一番を取りたいです」。無心で臨んだ先に、所要2場所でつかむ関取の座が待っている。