新十両で、しこ名でも話題を集める西十両14枚目の翔猿(とびざる、25=追手風)の負け越しが決まってしまった。208キロの巨漢・天風(26=尾車)の突進をかいくぐろうと低い体勢で応戦したが、威力のある突き、押しに後退。横向きにされ、何とか正対しようと体を回転させたが、送り倒しで土俵下に飛ばされた。

 身軽な動きが持ち味とはいえ、120キロに満たない軽量をまともに突かれては、ひとたまりもない。自分が「猿のように翔(と)び回る」相撲は影を潜め、相手に飛ばされる相撲で8つの黒星を喫してしまった。悔しさはあるだろうが、努めて前向きに現実を受け止めた。来場所の幕下陥落は決定的だが「1からやるしかありません。また気持ちを切り替えて、いつか(十両に)帰ってきます」と話した。

 1場所7番の幕下以下時代から、15番取れる十両は「毎日取れていい」と前半は話していたが、負けが込むと「中盤から精神的にずっときつかった」といい技術的には「我慢が足りない。(相手を)引っ張り込んだりして」と課題も見いだしている。物事はいいように考える。優先順位2番手で新十両昇進を果たしたが、入れ替わりで十両から陥落した力士は、本来なら落ちない成績だった。それもあり「先場所は、たまたま上がれた。また、いい機会を与えられたと思いたいです。関取の良さも分かったので」。たくましくなった姿で「戻るのは、なかなか難しい」と話す十両の土俵に戻る。