初黒星の横綱白鵬は、元大関魁皇と並ぶ歴代最多の通算1047勝が持ち越しとなった。1敗だった平幕碧山が敗れたため、単独トップは変わらず。大関高安が3敗目を喫したことで、碧山と阿武咲の2人が2敗で追う。

 支度部屋に戻り、まげを結うために腰を下ろした白鵬は、近くにいた記者を「そんな入ってこなくていい」と少しうんざりするように煙たがった。先場所の全勝優勝から続いていた連勝は25で止まり、通算勝利歴代1位の魁皇に並ぶこともできなかった。大記録を前に「いつもと違うところがあったんだろうね。硬さがあった」と土俵の上で、独特な雰囲気を感じとっていた。最後は「土俵がデコボコしていた。(足が)かかった気がする」と、取組内容以外のところに敗因を求めた。

 歴代2位タイで並んでいた千代の富士を超えて、迎えたこの日の朝。「いつもと変わらない感じだね」と気持ちの変化はなかった。稽古も普段通り行い、稽古後恒例のファンへのサイン会も行った。何もかも普段通りだったが「場所に入ったらどうなるかな」。その不安は的中し、気持ちがぶれてしまった。

 記録の達成はできなかったが、1日足踏みしただけ。場所前から目標にしていた2場所連続優勝も、まだ一番近いところにいる。「一番一番ですね」と、じれる気持ちを落ち着かせるように、自分に言い聞かせた。【佐々木隆史】