西前頭15枚目の豊山(23=時津風)が佐田の海(30)を小手投げで下し、連敗を4で止めた。初日白星スタートも、連敗中は土俵際での詰めを欠いていたが、故障明けの相手に苦しみながらも何とか勝利。5月の夏場所では初日白星の後に8連敗を喫し、幕内から一場所で十両に陥落しているだけに、ひとまず連敗脱出を喜んだ。

 ゆっくりとシャワーを浴びた豊山は、ホッとした表情で支度部屋に戻ってきた。報道陣に囲まれると開口一番、「ダメダメ、負けてもしょうがない内容だった」と真っ先に反省の言葉が出たが、次第に頬が緩んでいった。「昨日は焼き肉を食べてパワーをつけた。(勝ち方は)すっきりしないけど、勝ったことは大きい。気分転換にもなった」と、ホッとした様子だった。

 夏場所は新入幕初日に白星を挙げながら、そこから泥沼の8連敗。4勝11敗に終わり、一場所で十両に陥落した。返り入幕の今場所もいやな流れだった。初日は前に出ていく豊山らしい相撲でスタートを切ったが、2日目から4連敗。得意の突き押し相撲で相手を土俵際まで追い詰めるが、あと1歩で詰めを欠き、白星を逃す日々が続いていた。それだけに、白星がいい良薬になった。

 「(4連敗中は)負けてもいい相撲だと言っていたけど、やっぱり負けちゃダメ。どんな相撲でも勝たなければ」と、自らに言い聞かせるように話した。この日対戦した佐田の海は初日から休場し、ようやく復帰できた故障明け最初の一番で、取りこぼしは許されなかった。しかし、押し込まれる場面もあってヒヤリとしたが、最後は右腕を取っての小手投げで何とか勝利をつかんだ。「絶対に勝たなければいけないのに、押し込まれて。ダメ、ダメ、ダメ。でも、とにかく勝つことが大事。いい相撲をとって負けたら何にもならない」と、今場所2つ目の白星に笑顔がのぞいた。【内山泰志】