新十両で西13枚目の矢後(23=尾車)が3連勝と盛り返し、一時は4つ抱えていた“借金”を取り返し、4勝5敗と勝ち越しも見えてきた。

 相手は6場所連続負け越し中とはいえ、小結経験者でもある同10枚目の千代鳳(24=九重)。181キロの重さ、重心の低い出足に苦戦も予想されたが、右を抱え、左はのぞかせながらおっつけ、最後は右の上手を引きつけた。時計回りに土俵を4分の3周して必死に回り込む千代鳳を、最後は正面やや赤房下寄りに追い詰め、渾身(こんしん)の力で寄り切った。

 明らかに序盤戦の土俵とは、落ち着きが違う。「終始、落ち着いて自分の相撲を取れました。いい相撲を取っていれば気持ちも考え方も、余裕が持てるようになっていいです。うまく(自分と)闘いながら、いい感じになってます」と、マイナス思考に陥りがちな精神面も含め、全てが好転してきた。1場所7番から、15番取る関取として臨む土俵だが「折り返してしんどいけど、踏ん張りどころ」と、ねじを巻き直して正念場の土俵に臨む。