幕下付け出しデビューから所要2場所のスピード出世で新十両昇進を果たした西十両13枚目の矢後(23=尾車)が、崖っぷちで踏ん張った。

 5勝7敗と後がない状況で迎えた山口(28=宮城野)との一番は、立ち合いから突き押しで圧倒。左へ回り込もうとする相手を常に正面に置き、最後は山口が土俵を4分の1周回った正面土俵下に押し出した。

 6勝7敗とし、残りは2日。勝ち越しには連勝しかないが、十両残留には1勝で有望な状況に戻した。そんな星勘定は頭に入れず「よく体もついて行って、足もよく出ていた。今日みたいな速い相撲を取りたいです」と内容重視の思いを、この日も口にした。初めて関取として臨む場所も、残りわずか。「寝付きが浅い」(矢後)ところに疲れを感じることはあるが「若干です。まだ元気なので最後まで、この調子で行きたいです」と最後の力を振り絞る。