大相撲の元横綱日馬富士関(33)による暴力問題の影響で、明日3日から始まる冬巡業に巡業部長代理として同行する春日野広報部長(55=元関脇栃乃和歌)が1日、力士の巡業中の外出禁止や門限設定の可能性を示唆した。前日11月30日の理事会で、巡業部長の貴乃花親方が今回は同行しないことが決定。代わって九州、沖縄の10カ所12度の巡業に同行することになった春日野部長自らは期間中の禁酒を宣言し、相撲界の信頼回復へ土俵外でも規律を正していくつもりだ。

 春日野広報部長はこの日、大慌てで福岡に戻って行った。11月26日の九州場所千秋楽後、暴力問題の対応に追われ、これで福岡-東京間を2往復。多忙な中で巡業部長代理まで任されたが、注目される冬巡業では土俵外でも目を光らせる覚悟だ。この日、約1時間だけ都内の日本相撲協会に業務で立ち寄った際に、巡業中の力士の外出制限を問われると「何かしら相談しないといけないかもな。門限も」と、巡業部の親方衆と相談の上、夜間、中でも深夜に出歩くことを禁じる可能性を示唆した。

 元日馬富士関による暴行は、秋巡業中の10月25日夜の酒席で起きた。番付に関係なく、今回の巡業中に再び力士が酒席でトラブルを起こせば、再発防止を掲げる協会執行部としては面目丸つぶれ。春日野広報部長は「今回、オレは酒ぐらいは飲まないようにしようと思っている」と禁酒宣言。もちろん酒も好きなら、酒席で親睦を深めることにも理解のある豪快な性格ながら自ら手本となる決意だ。

 前日の理事会で、元日馬富士関に殴られた平幕貴ノ岩の師匠の貴乃花親方が、巡業部長ながら冬巡業に同行しないことが決まった。元日馬富士関は今月上旬にも書類送検の見通し。それを待って、貴乃花親方は、これまで拒否していた貴ノ岩への協会の危機管理委による事情聴取に応じることを認めており、それに対応するために今回は同行しないことになった。

 秋巡業までは巡業副部長の玉ノ井親方(元大関栃東)が、巡業2日目などに、力士に向けて訓示を行っていたが、春日野部長は「巡業は久しぶりだけど、今までのやり方でいいのか検討したい」と、初日に自ら力士にゲキを飛ばすことも視野に入れていた。

 急な決定もあって、貴乃花親方からの引き継ぎはなかった。だが「オレらが現役のころと180度違う。今の巡業を見るのもいい機会」と意気込む。暴力問題からの再起の第1歩として今日2日、最初に巡業を行う長崎・大村市入りする。