福岡・直方市で6日に行われた大相撲の冬巡業で、全テレビ局が会場内を撮影できない事態となった。元横綱日馬富士関(33)による、平幕貴ノ岩(27=貴乃花)への暴行問題は連日、テレビの情報番組などで放送。巡業取材は各局とも力が入り、この日も約30人が集結した。勧進元で菓子製造業もち吉の広報担当は「お客さまにご迷惑をかけないため。あれだけテレビの取材が来られると混乱するので」と、直方市巡業が始まって26年目で初の取材規制となった。

 過熱するテレビ取材には多くの関係者が疑問符を付けている。今回の暴行は秋巡業中の酒席で起きた。それだけに夜間に外出した力士は、コンビニで買い物しただけでも禁止事項を破ったように放送されたこともあった。今回は一部テレビ局が勧進元関係者の自宅へ、アポなしで訪問。体が不自由な相手に、無理な取材を敢行し、今回の措置につながったともいわれる。

 この日の巡業を担当した西岩親方(元関脇若の里)は「巡業は協会が勧進元に興行権を売っている形なので、取材対応も勧進元の意向に沿うことになります」と説明した。別の関係者は「今しか相撲を取材しない人は、何をしてもいいと考えてしまうのかな」と嘆いていた。