日本相撲協会の理事、副理事を決める2年に1度の役員候補選挙は今日1日、立候補を受け付ける。理事候補は定員10人に対して6つの一門から11人、副理事候補は定員3人に対して4人が立候補し、ともに投票となる見込みだ。貴乃花一門は1月30日に理事候補2人、副理事候補1人を擁立する方針を確認した。貴乃花親方(45=元横綱)は同31日に弟子の貴公俊(たかよしとし)の新十両会見に同席。明日2日の投開票前に朗報が届き、笑顔を見せる一方、選挙については語らなかった。

 2年に1度の役員候補選は理事候補、副理事候補ともに定員を超え、10年から5期連続の選挙となる見通しとなった。貴乃花一門が30日に行った会合で、理事候補として貴乃花親方と阿武松親方(元関脇益荒雄)、副理事候補として無所属の錣山親方(元関脇寺尾)を擁立する方針を確認。一夜明けたこの日、阿武松親方は立候補届提出について「行きます」と明言し、右手親指を立てるサムアップポーズ。貴乃花親方は貴公俊の新十両会見に同席した。元横綱日馬富士関の暴行問題で弟子の貴ノ岩が被害者となった昨年11月以降、報道陣の質問にはほぼ無言だったが、笑顔で弟子を称賛とともに明るかった。

 それでも貴乃花親方は選挙については「その話は勘弁してください」と苦笑した。自身も当確とはいえない状況で、立候補届の提出を明言しなかった。当選した過去4度とは異なる点も多く慎重な姿勢だ。

 ◆初の2人擁立 貴乃花一門には現在、8人の親方衆がいる。加えて昨年12月で時津風一門を離脱した錣山親方、湊親方(元前頭湊富士)、立田川親方(元小結豊真将)の3人が、無所属ながら一門会に参加するなど協力関係となった。これまで一門から貴乃花親方1人が立候補していたが今回は2人を予定。当選ラインは1人9票前後とされ2人で約18票必要なだけに、基礎票11の現状では足りない。

 ◆隠れ支持者 前回選挙までの錣山親方ら3人のように、一門の枠を超えて貴乃花一門を支持している親方衆は、他にもいるとされる。事実、前回も自身の当選には票が足りていたため山響親方(元前頭巌雄)と伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に分配する形となり、その後、理事長選出馬の際は2人から支持を得た。二所ノ関一門を離脱して初出馬した10年には、他の一門から3票を獲得して劣勢をはね返した実績もある。

 ◆勢力拡大なるか 一門から2人という目に見える勢力の拡大に加え、亡くなった北の湖前理事長(元横綱)の弟子であり、貴乃花親方に協力的な山響親方の当選も目指している。北の湖前理事長は、将来の理事長候補として貴乃花親方を評価。山響親方もその遺志を継いでおり、互いに協力的な関係を継続している。

 現状では仮に貴乃花親方に近い親方衆が理事に3人名を連ねても、10人の理事の中では過半数には届かない。だが副理事の錣山親方を含め、理事会の席上に最大で4人の“一派”が集えば、貴乃花親方の発言力は無視できないものになる。