京都・舞鶴文化公園体育館で4日に行われた春巡業で多々見良三舞鶴市長(67)があいさつ中に倒れ、複数の人が土俵上で救命措置を施していた際、日本相撲協会側が「女性の方は土俵から下りてください」とアナウンスした問題で、春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)は5日、姫路市の巡業先で謝罪、事情説明を行った。

 同巡業部長によると市長が倒れたタイミングは、幕内の取組準備を進めている時。審判の親方衆も土俵脇につく前で、自身もトイレに行って席を外していた。「想定外の出来事でビックリした。(アナウンスも)聞こえなかった」という。

 場内アナウンスをした若手行司に当時の状況を聞くと「動揺していた」という。「私も三十何年(角界に)かかわってきて(土俵で一般人が倒れ、救命措置が行われるのは)初めて。若手だからなおさらでしょう。頭の中が“土俵に女性が上がっている”と、いっぱいになったらしい」とおもんぱかった。

 とっさの判断が要求されて「土俵=女人禁制」の“角界の常識”にとらわれた形のようだが、人命に関わる状況で適当ではなかった。同巡業部長は「(アナウンスは)不適切だったと思う。最悪の事態にならず、本当によかった。今後の対策については執行部にも相談している。本場所でも起こる可能性があることなので、今回(の事態)を教訓にして、想定してやっていきたい」と話した。