前日4日に行われた大相撲の京都・舞鶴市巡業で、土俵上であいさつをしていた多々見良三市長(67)が倒れた際、救命処置を施した女性が土俵から下りるよう、場内放送で促された問題で5日、東京・両国国技館内にある日本相撲協会を、同巡業を担当した巡業部の松ヶ根親方(43=元前頭玉力道)が訪れ経過報告した。

 松ヶ根親方の報告について、尾車事業部長(60=元大関琴風)が同日夕に報道対応。これまで報道されたように波紋を広げたアナウンスは、若手の行司が周囲の観客から上がった「女性を(土俵に)上げていいのか」という声に、慌てて反応した末に発してしまったと説明した。その上で「どんな経緯であろうと人命より大事なものは、この世に存在しません。女性が土俵に上がってはいけないという話とは全く次元が違う」とし「誤解があったら申し訳ない」と続けた。

 また八角理事長(54=元横綱北勝海)の思いにも言及。1日も早い市長の回復を祈り、可能なタイミングで見舞いに足を運ぶ意向だという。さらに救命処置を施した女性に対しても同理事長は、直接会って感謝の気持ちを伝えるとともに、不適切なアナウンスがあったことを謝罪したい意向を示したという。また救命処置にあたった複数の女性は、市長のかかりつけである病院の看護師で、当日は観戦に訪れていたという。

 巡業部長も歴任した尾車事業部長は今後、既に研修が行われているAED(自動体外式除細動器)の使用方法などについても「いざという時の訓練の講習会も必要かもしれない」と今後の課題に挙げた。さらに一部報道であった、女性が土俵に上がったことでその後、大量の塩がまかれたことについても「女性蔑視のようなことは全くない」と誤解を招いたことを懸念していた。