3月の職務変更に伴い、審判部の副部長に就任した元関脇水戸泉の錦戸親方(55)が、初めて幕内後半戦の審判長として、正面土俵下から目を光らせた。

 やや緊張の面持ち? のようだったが、結びの一番を含め20番を見守り審判部に戻ると、ホッとひと息ついた様子。初日は十両、3日目は幕内前半戦で、それぞれ審判長を務めたが、やはり華のある幕内後半戦のそれとは違うようで「怖かったですよ、(力士が)落ちてこないかね」とドキドキ感を味わう一方で、熱戦続きの取組に「みんな、いい相撲を取ってました。楽しかったですよ」と、いい緊張感の中で任務を果たした充実感に包まれていた。

 目いっぱいの塩まきと、平幕優勝も果たした人気力士として現役時代は活躍した錦戸親方。もちろん、観戦者として“楽しんだ”わけではなく、各取組も的確に分析。結びの一番は「鶴竜は(前日の負けの)尾を引いてなく、いい相撲でした。阿炎の方が気負ってました」と横綱初挑戦だった若武者の表情から心情を読み取った。大関とりのかかる関脇栃ノ心の表情も「仕切っている時は緊張していました」と察したが、相撲については「相手によって考えて相撲を変えられる。相撲に迷いがないのが、いちばん良いところ」と的確に分析していた。