今年1月の初場所で新入幕を果たした阿炎(24=錣山)が、初参戦で2位に入り、今回の1番のサプライズとなった。朗報に「やってやったぜ!」と、稽古後に高々と拳を突き上げた。

 3位遠藤とは、わずか10票差ながら「10票でも勝ちは勝ち」と胸を張った。続けて「もともと『2』っていう数字は好き。(白鵬撃破で)Yahoo! ニュースにも載ったし、2位は妥当なんじゃないッスか、なんつって。もちろんうれしいッスよ。でも勝負事で負けるのは嫌」と話し、稀勢の里に敗れたことすら悔しがるそぶりを見せた。

 そんな負けん気の強さを前面に、5月の夏場所では横綱白鵬に師匠譲りの回転の速い突っ張りから完勝した。初顔合わせで金星。NHKのインタビューで「お母さんに早く報告したいので帰っていいですか」などと答えた、自由すぎる言動と合わせてブレークした。

 かつて付け人を務め、尊敬する横綱鶴竜よりも順位を2つ上回った。だが「そういう細かいところを突っ込まれると、いつもの感じで答えにくいッス。横綱(鶴竜)より何かで上回っているなんて考えたことないから」と苦笑い。実は礼儀正しい好青年の一面ものぞかせた。

 「普通じゃつまらない。だって、普通だったら2位になってないでしょ? 名古屋場所は全勝を目指す。そりゃあ、負けることなんか考えないもん。優勝は狙ってますよ! みんなが思っても言わないことを口に出しているだけ」。取り口も言動も個性的な、次世代スター候補が誕生した。