日本相撲協会の春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)、鶴竜(33=井筒)稀勢の里(32=田子ノ浦)の両横綱らが、大相撲夏巡業の移動日となった13日、東日本大震災の被災地となった仙台市若林区を訪れ、復興横綱土俵入りなどを行った。

 一行はこの日午前、海岸近くにある「荒浜祈りの塔」を訪れ慰霊碑に献花。続いて、津波で被災し震災遺構になっている旧仙台市立荒浜小学校も訪れた。

 正午すぎには、同区内にある復興公営住宅の荒井東市営住宅を訪問。津波などで自宅を失った被災者を中心に、約300世帯が入居する住宅で、一行は黙とうした後、相撲甚句の披露や呼び出しによる、やぐら太鼓の打ちわけ実演を披露。その後、鶴竜と稀勢の里が、東日本大震災からの復興を祈願しての横綱土俵入りを披露した。

 その後も、土俵入りで両横綱の太刀持ち、露払いを務めた関取衆による握手会で被災地の市民らと交流。集まった約550人のファンも感激の様子だった。東日本大震災の復興土俵入りは、大震災があった2011年から8年連続の実施となった。

 新横綱だった4年前に、福島県いわき市で復興土俵入りした鶴竜は「(旧荒浜)小学校を見て、あらためて地震、津波の怖さを感じた。2度と、この地域に地震が来ないようにという思いで土俵入りをした。ここにいる皆さんが、少しでも元気になれば」と話した。稀勢の里も「少しでも元気になってもらえれば、と思ったけど逆に応援されて、頑張らなければいけないと温かい気持ちになれた。大歓迎されて、本当にありがたかった」と、しみじみとした口調で話した。