8場所連続休場中の大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、厳しい周囲の意見とは対照的に、秋場所(9日初日、東京・両国国技館)出場への意欲を高めた。4日、都内の尾車部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加。出稽古で訪れた出羽海一門の大関豪栄道を指名し、3勝8敗と負け越した。豪栄道の低く鋭い立ち合いに苦しみ、一方的に土俵を割る場面も。それでも「いい稽古になった。しっかり、やることをやって場所に臨んでいきたい」と前向きに話した。

稽古を見た解説者の北の富士氏は「悪いものを見ちゃったな。今の状態では非常に苦しい。この場所に懸ける気迫が感じられなかったのが一番残念」と酷評した。芝田山親方(元横綱大乃国)も「進歩がない。ただ受けているだけ。右も何をしたいか分からない。引っ張り込むでも上手を取るでもないし」と指摘した。

だが稀勢の里は「速さと強さを感じられた」と手応えを口にした。懸念されるのは相撲勘の衰え。予想外に豪栄道と稽古できたことが何よりの収穫と感じている。今後の出稽古も「考えてますよ」と、ギリギリまで強敵を求めるつもりだ。