大関栃ノ心(30=春日野)が豪快な相撲で、全勝だった鶴竜に土をつけ、かど番脱出に王手をかけた。

過去の対戦2勝22敗という合口最悪の横綱に、得意の右四つを許してもらえず、逆に両差しを許した。

「でも、まわしは取れたからね。もう出るしかないでしょう」

深々と両上手でまわしをつかむと、土俵中央で強引につり上げ、土俵際へ。両腕にこん身の力を込め、左が勇み足になりかけるほど勢いよく、寄り切った。

7勝4敗。残り4日で、1勝すれば、大関残留が決まる。まだ「緊張するよ」と言いつつも「もう1丁だな。あと4番でね」と表情は明るい。

名古屋場所は新大関として5連勝で迎えた6日目、初黒星を喫した玉鷲戦で右脚親指付け根の靱帯(じんたい)を損傷し、休場を余儀なくされた。体調が万全でないまま迎えた今場所も苦しみ抜いてきたが、ようやくトンネルの出口が見えてきた。