千賀ノ浦部屋所属となった小結貴景勝(22)が、いよいよ再出発する。大相撲九州場所初日を翌日に控えた10日、福岡国際センターで行われた土俵祭りに出席した。所属先変更後、初めての本場所。部屋は変われど、元貴乃花親方(元横綱)の教えを胸に、結果にこだわる姿勢を見せた。

勝負は終わるまで分からない。だからこそ、勝負前から結果を気にしない、考えない貴景勝だが、この日は違った。「今場所は成績を残すことが一番。新しい部屋でもしっかり成績を残さないといけない」。気合を入れた語気には、使命感も交じっていた。

旧貴乃花部屋から移籍後、初めて迎える本場所。初日の相手は、これまで対戦成績が五分の横綱稀勢の里。若手とベテランの結びの一番、というだけでも十分だが、別の注目のされ方をしているのに貴景勝は気づいている。「自分は大丈夫だけど、心配してくれる方がいる。そのためにも変な成績を残せない」と、ここまで支えてくれた人のためにも土俵に上がる。

たくさんの支えの中でも、元貴乃花親方の教えは格別だ。印象に残っている指導は「ちゃんと食べるとか、ちゃんと睡眠を取るとか基本的なこと」と至って当たり前のこと。ただ、当たり前のことを当たり前に、毎日続けることの難しさを学んだ。加えて力士としての心構えなどの気持ちの面も大きい。「精神論は自分の中で秘めている」と内容は隠したが、教えは常に心の中で生きている。いろいろな物を背負って、いよいよ本土俵に上がる時がきた。【佐々木隆史】