今場所から千賀ノ浦部屋所属となった小結貴景勝(22)が、横綱稀勢の里を破った。10月に師匠だった元貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会を退職。それに伴い所属部屋も師匠も変わったが、気持ちは一切ぶれることなく、最高の形で第2の角界人生のスタートを切った。

常に真っ向勝負を挑む、貴景勝らしい相撲だった。立ち合いで稀勢の里から右の張り手をもらった瞬間「気持ちで負けないように」とスイッチが入った。いなしながらもひたすら突き続け、最後はがむしゃらに左腕を振ってはたき込んだ。支度部屋に戻ると、鼻血を気にすることなく「胸を借りる気持ちで何も考えずにいきました。夢中でした」。息を切らしながら、必死に言葉を吐き出した。

今月3、4日に、福岡・田川市で行われた祭りで、元貴乃花親方と約1カ月ぶりに再会。「しっかり稽古しろよ、と言われた」と声をかけられたという。そんな元師匠に朗報を届ける結果となったが「それは自分がどうこう言うことではない」と考えなかった。それでも「テレビで見ている人にへたれな相撲を見せないように」と積極的な攻めの姿勢を貫いた。その思いは間違いなく、元貴乃花親方に伝わったはずだ。