東前頭2枚目栃煌山(31=春日野)が横綱稀勢の里をすくい投げで破り、勝ちっ放しの4連勝を飾った。2関脇、大関に続く上位陣撃破。金星は昨年夏場所に稀勢の里を破って以来通算5個目となった。

攻め込まれ、土俵際で逆転を狙った。左からの投げで、2人もつれるように土俵を割り、軍配は相手に上がったが、もの言い、協議の末、行司差し違えで白星を手にした。

「横綱がグラッとして体が浮いた感じだったから、絶対に先に足をつかないようにしようと思った。もの言いがつくかな、と思ったけど、相手にずっと攻められた相撲だし『つかなくてもしょうがない』と思っていました」

結びの一番は、昨年秋場所の日馬富士戦以来。横綱戦は同年九州場所の稀勢の里戦以来だった。関脇を11場所、小結を14場所も務めた“大関候補”が、昨年から左膝、腰、左大胸筋など相次ぐ故障に見舞われ、今年夏場所では東前頭15枚目へ。07年春場所の新入幕後、自己ワーストタイまで番付を落とした。

「また戻ってこれたことは素直にうれしいです」。ただ、この日は気合が空回り。「いい感じだったのに(仕切りで)腰が決まった後、何か変に力が入って」。力の入らぬ立ち合いで、防戦一方になった点を反省した。

「金星とかそんなに意識しませんでした。それよりも、よくなっているところがたくさんあるので、それを出したかった。自分は“まだまだ、もっと良くなる”と思っているので」

昨年6月に結婚した妻せりさんは滋賀県の実家に長女禀(りん)ちゃんを連れて帰省中。「ちょうど初日に1歳2カ月になったんですよ」と、連日のテレビ電話が31歳のパワーの源だ。小結だった昨年秋場所以来となる三役復帰へ、念願の初優勝へ。金星程度で、満足してはいられない。