東前頭2枚目栃煌山(31=春日野)が、横綱稀勢の里に逆転のすくい投げを決めた。2関脇、大関に続く上位陣撃破。昨年夏場所と同じ稀勢の里を破って以来、通算5個目の金星を手にし、勝ちっぱなしの4連勝だ。かつて25場所で三役を務め「大関候補」と呼ばれた男が、昨年秋場所以来7場所ぶりの結びの一番で健在ぶりを見せた。

横綱に押し込まれた土俵際で、栃煌山が起死回生を狙った。左からこん身のすくい投げ。「横綱がグラッとして体が浮いた感じになった。絶対に(右)足が先に着かないようにと」。もつれて倒れ、軍配は稀勢の里に上がったが、物言いがついた。行司差し違えで白星を手にした。

金星は昨年夏場所の稀勢の里戦以来5個目だが、そこに大きな喜びはない。同秋場所の日馬富士戦以来の結びの一番で、同九州場所の稀勢の里戦以来の横綱戦に臨めたことが「素直にうれしい」と笑った。かつて三役の常連だった男が、相次ぐ故障で今年夏場所には東前頭15枚目へ。「十両に落ちそうなところまで行った」。

31歳。横綱稀勢の里と同学年。「まだまだ、もっと良くなる段階だと思っています」。復活へ。いや、さらなる進化へ。同部屋の栃ノ心に先を越されたが、大関とりの夢は続いている。【加藤裕一】