大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が15日、福岡・大野城市の部屋で取材に応じ、九州場所5日目から休場することを表明した。

初日の小結貴景勝戦で右膝を捻挫し、1カ月の加療を要する状態であることが判明。初日から4連敗と、不戦敗を除けば、横綱としては31年1月場所の宮城山以来、実に87年ぶり。1場所15日制が定着した49年夏場所以降では初めて、初日から4連敗を喫していた。

「非常に場所前は調子よくできていたけど、初日の相撲で、また新しく痛めてしまった。2日目以降、本来の相撲とは違った。応援してくださった方々には申し訳ない気持ちでいっぱい。最後まで取りたかった」などと、何度も唇をかみしめながら話した。

今後については「しっかりと治して、そこから考えたい」と、当面は治療を最優先する。12月の冬巡業については「状態次第で。稽古するにはいい環境だと思う」と、あくまで来年1月の初場所での、本場所復帰を目指していく姿勢をかいま見せた。

横綱としては単独で史上最長となる8場所連続休場から、進退を懸けて臨んだ9月の秋場所を10勝5敗で乗り切った。その後は調整も順調で、今場所を迎えたが、1勝もできずに休場することとなり、再び進退問題が浮上することは避けられない情勢となった。厳しい声については「またしっかりと考えたいと思います」と、受け止める覚悟を見せた。

師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は、14日の夜に、宿舎で約15分話し合ったことを明かした。同親方は「本人から『このままでは終われない。チャンスをください』ということを言われた。そういうことを話すタイプではないけど、話したので、次に向けて全力でいきたいという考えだと思う」と、気力は衰えていない様子を説明していた。