大関栃ノ心(31=春日野)が関脇逸ノ城を下し、星を5勝5敗の五分に戻した。相四つの相手とあって、立ち合いから右を差せたものの、左上手をなかなか引けない。じわじわ押し込まれ、右下手投げを仕掛けた後、相手が寄りに来たタイミングで左上手でまわしをつかみ、幕内最重量227キロの巨体を寄り切った。

右四つ→寄り切りという得意のパターンを決めたが、立ち合い負けせず、攻め込んだ末のフィニッシュではない。その分「立ち合いがね…。当たれてないね」と表情はいまひとつだ。逸ノ城とはまわしを引いての力勝負が“恒例”で、いつもは「勝っても負けても腕がパンパンになる」と定番のコメントで苦笑い。ところが、今場所は自分の相撲がとれていないだけに、この日の朝稽古後「腕がパンパンになりたいよ。今場所はまだ全然なってないもんな」とこぼしていた。

結果は「腕がパンパン? そうでもないね」。不完全燃焼の10日間が過ぎた。残り5日で、勝ち越しまであと3勝だ。「勝たなきゃいけないからね。まあ1つ勝ってよかったよ」。もがきながら勝負どころに突入する。