東十両筆頭矢後(24=尾車)が新入幕を確実にした。同6枚目明瀬山を寄り切り、8勝4敗で勝ち越し。立ち合いで弾かれたが、差し手争いで得意の左四つに持ち込む。相手が出てくるタイミングで、右の1枚上手を引くと、こん身の力で引きつけ、左下手を深く差し込み、前に出た。

「ホッとしました。最初はいつも通りだったんですが、土俵に上がってからフワフワして…」。喜びを誰に伝えたいか、問われると「まず親方、両親に、支えてくれた方々に…」と話し、目を潤ませた。

中大時代にアマチュア横綱となり、昨年夏場所で幕下15枚目格付け出しデビュー。所要2場所で新十両となった大器だが、新入幕には結局10場所を要した。「十両で少しもたもたしたかなと。なかなか勝ち越せなくて」。西十両2枚目の先場所は12日目で勝ち越しを決めたのに、3連敗で8勝7敗。「少し、ほんの少し“上がれるかな”と思ったんですが。“まだ実力が足りないんだ”と思い、今場所にかけました」。腹をくくって、臨んだ場所だ。

北海道勢で戦後52人目の新入幕。新十両会見で、師匠の尾車親方(元大関琴風)は「しこ名を替えるのは“ヤゴ”が“とんぼ”になってから」と言い、来場所も改名するかは未定。だが、大きく羽ばたく日は確実に近づいている。