九州場所で初優勝を果たした小結貴景勝(22=千賀ノ浦)が26日、福岡・篠栗町の宿舎で優勝一夜明け会見を行った。会見開始直前まで寝ていたといい「何も考えずに寝られたのがうれしかった」と重圧からの解放に本場所中では見せなかった柔和な表情を見せた。

場所前には師匠だった元貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会を退職し、所属先は貴乃花部屋から千賀ノ浦部屋へと変わった。環境が大きく変わっての優勝だったが、「達成感を出している場合ではない。今場所で終わりならあるかもしれないけど、まだまだありますし」と余韻にひたることはなかった。

秋場所は9勝で九州場所との合計は22勝。三役で3場所合計33勝が大関昇進の目安とされているが、25日の千秋楽時点では、阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は来年初場所が明確な大関とりではないという認識を示した。それでも高次元の成績なら昇進の声が上がる可能性があるとしたが、貴景勝は「まだまだ顔ではない。来場所は白星、黒星ではなく、質を高められるようにやりたい」と今は意識しなかった。

3横綱不在だった一年納めの場所を締めたニューヒーロー。だが会見中に浮かれる様子は1度もなく「これが最初で最後にならないようにやっていかないといけない」と、早くも2回目の優勝を視野に入れた。【佐々木隆史】