大相撲の前頭貴ノ岩(28=千賀ノ浦)が、付け人で三段目力士の貴大将(23)に暴力を振るった問題で発覚から一夜明けた6日、師匠の千賀ノ浦親方は悲痛の表情を浮かべた。貴ノ岩の暴行問題に「とにかく驚きで、残念の言葉しか出てこない。残念なのと情けないのと、両方です。すみません」と言及。早朝から都内の部屋を囲んだ約40人の報道陣を前に、力ない声で謝罪した。現役時代は「ドラえもん」の愛称で親しまれ、温厚な性格で知られる同親方だが、暴力根絶を掲げる角界を大きく裏切った貴ノ岩に対し「考えが甘い。自覚が足りないということ」と一刀両断した。

「どんな内容か分からないので、私にはお答えしようがありません」。この日午後1時過ぎから約1時間行われた協会からの事情聴取は、暴行を受けた貴大将だけが参加。千賀ノ浦親方は同席せず別室で待機した。その後の貴大将との会話の中では、警察に被害届を提出する話はあがらなかったという。

謹慎処分を受けた貴ノ岩は、当面は自身の監視下に置く。聴取後は貴大将を先に部屋へ帰し、午後4時過ぎに東京・両国国技館を離れた。午後5時30分に自身が運転する車に貴ノ岩を同乗させ部屋へ帰宅。貴ノ岩は無言だった。部屋付近の自宅ではなく「僕がずっと見ておかないといけないので」と、部屋で同居する形で謹慎させる。協会からは「とにかく厳しく監督するように」と注意を受けた。貴大将の携帯電話も師匠が預かっているという。

先月の九州場所ではいきなり貴景勝の初優勝を見届けたが、喜びもつかの間、想定外の事態に終始、困惑気味だった。【佐藤礼征】