進退問題が浮上している大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が初場所を前に、盟友2人の“激励”で初心を取り戻した。

6日、都内の部屋に前頭琴奨菊と十両豊ノ島が出稽古で訪れた。3人は02年初土俵のほぼ同期。1月の初場所で高卒の琴奨菊と豊ノ島、3月の春場所で中卒の稀勢の里が初土俵を踏み、新弟子が半年間通う相撲教習所時代から稽古してきた間柄だ。報道陣非公開で、弟弟子の大関高安は時津風部屋に出稽古で不在。稀勢の里は「昔を思い出しながら。本当にいい稽古だった」と3人だけの濃密な時間を笑顔で振り返った。

教習所時代は3学年下とあって「2人に圧倒されていた。歯が立たなかった」と懐かしそうに話した。当時から3人で意識し合っていたという。先場所は豊ノ島が故障を乗り越え、約2年ぶりに戻った十両で11勝。琴奨菊も幕内で10勝と衰え知らずだ。一方で稀勢の里は、先場所を途中休場し、横綱審議委員会(横審)に「激励」を決議され、奮起を促されている。その横審に復調を印象づける必要がある稽古総見は今日7日。盟友への“激励”とばかりに「3人で、あのころを思い出してやろう」(豊ノ島)と、2人からの提案で稽古が実現した。

稀勢の里は15番ほど取り、豊ノ島に7戦全勝、琴奨菊には2、3敗したとみられる。稀勢の里は「昔も必死だったけど、今日の方が必死だったかも。楽しかった。一番いい稽古だった」と笑った。長年のライバルに囲まれ“負けたくない”という原点を思い出していた。【高田文太】