進退をかけて臨んでいる横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、館内を静まりかえらせる泥沼の3連敗。同じ二所ノ関一門の現役親方衆では唯一の横綱経験者で、広報部長を務める芝田山親方(元横綱大乃国)は、現状を厳しく分析した。

開口一番に「もうダメでしょう。稀勢の里という横綱の相撲になってない」と語った。土俵に向かうテレビ画面を通しても「花道に入る時から目線が『一発、行くぞ!』という目の光じゃなかった。本人は頑張って何とかしようと、してきたんだろうけど」と感じ取った。

横綱昇進時には、雲竜型の土俵入りを指導するなど、一門の期待は大きかった。ただ、一門の枠を超えて横綱という「重み」も口にした。「自分の時は師匠(当時の放駒親方=元大関魁傑)に『土俵に上がっても自分が何をやっているのか分かりません』と伝えたら『それでは仕方ない』と引退になった。厳しいところに立たされて、自分と闘っているんだろう。横綱という立場に立った人でないと分からない心境だろう。今後のことは本人と師匠次第」と推し量った。

仮に4日目も出場を目指すとして「ここから立て直したら、たいしたもんだ」と一抹の期待も。ただ、すぐに「誰にも勝てない今の状況は厳しい。横綱としては、どうしようもない、前にも後ろにも行けない状況だろう」と厳しい見通しを示した。