稀勢の里の最後の取組相手となった東前頭筆頭栃煌山(31=春日野)は16日、都内の部屋で朝稽古を終えた後に引退の報を知った。「何とも言えない気持ちですね」と率直な心境を口にした。前日3日目の取組は当たり勝ってもろ差しとなり、投げで崩して寄り切った。「基本、勝負は勝負。当たりが弱かったとかはなかったですよ。でも最後はスッと(土俵)出たというか…。土俵際の突き落としがある人なんで…」と振り返った。

早生まれのため現在の年齢は1つ下だが、同学年。ただし角界入りは中卒の稀勢の里が高卒の自分より早く、兄弟子だった。「自分が新十両の時、もう小結でしたからね。その時から意識する存在でした。よく(一緒に)稽古しましたからね。巡業で当時は土俵がもう1つあったりして“山稽古”で『三番稽古をやろうか?』とよく誘ってもらった」という。幕内で43度も戦い、17勝26敗。「やるときは本当に気合も入るし、やりがいのある相手でした。それが、もうやれないというのは…」と残念そうだった。