現役引退を決断した大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が16日、東京・両国国技館で引退会見を行った。

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横綱として、力士として「粋」な姿にこだわったのが稀勢の里だった。人の目に触れる際に、ジャージーなどを着ないのは当然。ぞうりの履き方にもこだわっていた。小さめのぞうりに、鼻緒は足の親指と人さし指の間に浅めに引っかけ、かかとをはみ出させて履いていた。何も知らない私が「脱げそうじゃないですか?」と聞くと「これがかっこいいんです」と笑った。研究、勉強し、理想の力士像や横綱像を追っていた。

相撲道を究めるだけでなく、ほかのスポーツの知識量も膨大だった。野球の話では「○○のキャッチャーミットはここの部分が特許なんです」と身ぶり手ぶりを交えて、すらすら出てきた。競馬、プロレス、総合格闘技、柔道なども好きで、私がヒクソン・グレイシーの本を手渡した時も、その場ですぐに読み始めた。数年前に会った時には「サッカーはあまり興味ないかな。でもほかのスポーツならなんでも話せます。日刊スポーツでコラムやらせてくださいよ。あ、サッカーだけじゃなく、相撲のこともよく分からないんですが」。まずは休んで落ち着いたら、コラムのオファーを持って行きたい。

【11、12年担当=高橋悟史】