大相撲の元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)が、親方として初めて相撲協会の仕事をこなした。

9日、東京・両国国技館で行われたNHK福祉大相撲で、協会支給の紺色のジャンパー姿を初披露。「6L」の特大サイズで着心地は「軽くていい」と笑顔を見せた。

イベント開始5時間半前、観客入場前の午前7時半から国技館を巡回し、安全確認などを行った。その後は有事に備えて控室で待機。午後5時半の最終確認まで長い1日だったが、最後までネクタイを緩めず「親方になったという感じ。またここからスタート」と話した。

場所中に引退した1月の初場所は、職務が未定だったため親方としての仕事はなかった。部屋付き親方の指導者としては、所属する田子ノ浦部屋ですでに、4日から新たな稽古まわしを着けて臨んでいる。大関、横綱時代は車で本場所会場を出入りし、直接、支度部屋との間を行き来することが多かった。だが今後は警備などでファンとの距離が近い仕事が増えるため「現役時代は、なかなかできなかったから、しっかりやっていきたい」と、ファンサービスに努める考えだ。

当面の目標は、弟弟子の大関高安の稽古相手を務めることだ。部屋で番付2番目の力士でも三段目と開きがあり、高安の稽古相手がいないのが実情。相撲勘を鈍らせないためにも「少しでも力になれれば」と、春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)に向けて体づくりを継続する。【高田文太】