大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付が25日、発表され、新入幕の東前頭13枚目友風(24=尾車)が、大阪・堺市の部屋で会見した。17年5月の夏場所初土俵から、所要11場所での新入幕は、年6場所制となった58年以降では、幕下付け出しを除いて4位タイのスピード出世(1位常幸龍=9場所。2位大砂嵐、北勝富士=10場所。ほか11場所は琴欧洲、阿覧、正代)。「まだ、あまり実感がない。番付を見て、一番上の段に名前があって、うれしい」と、初々しく話した。また、将来的な目標としては「新年の決意表明で『三役に上がりたい』と言ったので、三役を目指したい」と語り、力を込めていた。

新十両だった昨年九州場所で、いきなり十両優勝を果たすと、初場所も10勝を挙げ、十両をわずか2場所で通過した。一昨年秋場所から続けている西前頭12枚目嘉風の付け人は、十両の間も務めていたが、今回で嘉風とは番付が急接近。「嘉風関には『付け人は卒業だ』と言われていたのですが、先日は『お前はずっとオレの付け人だ』と言われました」と、冗談混じりに祝福されたことを明かした。最高の形で付け人を卒業するが「どこかで(番付を)抜きたくない存在。僕よりも上で勇姿を見ていたい。お手伝いできることがあればやって、いろいろ学びたい」と、スピード出世にあぐらをかくことなく、土俵内外で日体大の先輩でもある兄弟子から吸収するつもりだ。

会見をひそかに聞いていた嘉風も「立派ですよ。強みは、自分の弱いところを人に言えるところ。以前はなかったけど、それが強さになっている」と、客観的に自分を分析できる精神面の強さを評価した。また、会見に同席した師匠の尾車親方(元大関琴風)は、突き、押しを得意とする現状にとどまらず「四つもできる。自分の中で『これ』というものを見つけてほしい」と、さらなる成長を期待した。

部屋としては先場所の矢後に続き、2場所連続で新入幕力士を輩出した。その矢後の新入幕会見で、尾車親方は2代目琴風の可能性に言及。この日も同親方は「いつでも譲りたいぐらい」と話すと、友風は「矢後と争奪戦ですね」と話し、笑顔を見せていた。