大阪・寝屋川市出身の大関豪栄道(32=境川)が、年に1度のご当所場所での初優勝へ、無傷の4連勝と乗ってきた。幕内2番目に重い、204キロの東前頭筆頭魁聖を上手投げで仕留めた。全勝だった16年9月の秋場所以来、2度目の優勝への意欲をのぞかせた。全勝は他に横綱白鵬、逸ノ城、琴奨菊、石浦の前頭3人で計5人。横綱、大関陣は今場所初の安泰となった。

  ◇  ◇  ◇

立ち合いで頭からぶつかると、豪栄道はすぐに左上手を引いた。流れるような動きで上手投げ。わずか2秒6で魁聖の巨体を土俵に転がした。この日の幕内取組で最短時間での決着だったが、直前に行司から待ったがかかり、2度目の立ち合いだった。最初の立ち合いは「思い通りだった。(今場所)1番よかった」と、低い体勢から魁聖を突き起こしていた。それでも気落ちせず「体は動いている」と、取り直して快勝した。

初日から4連敗だった、1月の初場所とは正反対の好スタートを切った。地元大阪の春場所では、これまで思うような成績を残せていない。それだけに「いろんな人にハッパをかけられている」と気合も入る。春場所で初日から4連勝するのは3年ぶり。幕内として11度目の春場所で無傷の4連勝は4度目だが、5連勝は1度もない。地元の期待が重圧にもなっていたこれまでとは違い「気分よく取れているか」の質問に「そうですね」と即答した。

期待を素直に受け止められるのは、同い年の元横綱稀勢の里が引退した影響は少なくない。稀勢の里が引退した初場所4日目は、ライバルがいなくなった寂しさから終始神妙な顔つきだった。最近は「相撲人生」という言葉を用い、現役生活が長くないと自覚するコメントが目立つ。この日の取組後も「もう長くないでしょ。45歳まで、できひんし」と、現役で春場所を迎えられる回数に限りがあると強調した。だからこそ、好発進した今年にかけている。「まあ、明日(5日目)からですよ」。まずは地元では幕内初の5連勝に照準を定めた。【高田文太】