16場所ぶりに幕内へ戻った、西前頭14枚目の豊ノ島(35=時津風)が今場所初の3連敗を喫し、星は2勝5敗となった。

先場所、先々場所と十両で2度対戦(1勝1敗)した、同じ再入幕で東前頭15枚目の石浦(29=宮城野)との一番。鋭い踏み込みから得意の左を差そうとしたが、それを封じようと石浦に動き回られた。おっつけから左へ回り込まれて、小兵の石浦に頭をつけられる。何とか差そうとした左をはね上げられ、おっつけから左を深く差される劣勢。最後まで低い体勢を貫かれた石浦に押し出された。

174センチ、115キロの小兵ながら幕内で奮闘する相手の力は認めた上で、豊ノ島は話した。「全体的に、うまく(石浦から見て)右から攻められた。左の使い方が中途半端だったかもしれないけど、あの体で(幕内力士として)やっているんだから、相手も考えてますから」。小兵相手の相撲は、やりにくさもあり、だからこそ相撲の妙で料理しがいもある。これまでも小兵を、うまく退けてきた豊ノ島だが、この日は相手が一枚上だった。

場所前には、同期生で気心知れた琴奨菊(35=佐渡ケ嶽)と、やはり“戦友”として相撲教習所でともに稽古で汗を流した元横綱稀勢の里の荒磯親方(32)と慰労会を兼ねた食事会を開催。この日はNHK中継で、その荒磯親方がゲスト解説を務めた。その荒磯親方は、豊ノ島の一番を「今場所のこの3連敗は攻め急いでいる。もっとジックリ構えてもいいのでは」と指摘。それは自分でも分かっているようで「ここ何日か確かに、それは(自分でも)見える。慌てずにいると受け身になってしまうし…。程よく慌てず、程よく慌ててという感じかな」と、微妙なさじ加減を口にした。

久々の幕内で厳しい土俵が続く。疲れもあるが「年齢のことがあって、しんどいと思うようなら辞めた方がいい。やっている以上は同じ条件だから」と言い訳にはしない。幕下35枚目まで落ち引退を覚悟した、ちょうど1年前の春場所の心境とは比べようもないだろうが「過去は過去だからね。あの頃はああだった、なんて思ったら進化はない。土俵に上がって勝負している以上は、先を見据えないといけない」。何とか打開しようという土俵は、折り返し点を迎える。