16場所ぶりに幕内へ戻った、西前頭14枚目の豊ノ島(35=時津風)が5日目から5連敗を喫し、星は2勝7敗に。「9割方、勝っていた」(豊ノ島)星を落とし、負け越しの崖っぷちに立たされた。

1度だけ十両だった先場所で対戦し、押し出しで勝っている、新入幕で東前頭16枚目の大翔鵬(24=追手風)と対戦。十分な踏み込みから一気に東土俵へ、相手を運ぶ。突き放して相手の体は完全に浮いた。だが、両足が俵にかかった大翔鵬が粘り腰で逆襲。差した右を強烈にきめられ、ふりほどいたところでバランスを崩した。劣勢になり、突き放され、最後は正面土俵に押し倒された。

勝負を決め損なった詰めの部分、納得はしている相撲内容、切り替えようとする自分に言い聞かせる言葉。さまざまな感情が、風呂上がりの支度部屋で入りまじった。悔やむ部分は、勝負を決めようとした場面で相手との距離が近すぎ、密着してしまったことか。「右足を出すのが深く入りすぎて腰が入ってしまった。左手が甘かったのも反省点。バンザイする格好になりかけてバランスを崩した」。

内容には納得している。「今日は差すのではなく、踏み込んで圧力をかけて、はじいて一気に持っていこうとした。それは狙いどおり。9割方、勝っていたけど、勝負は時の運。勝てない時はこんなもんでしょう。勝負事には、どうしてもこんな時がある。タイプ的に、自分は星を拾うことが多いから、こんな時もあるし」。17秒の勝負の中に、たくさんの攻防が詰まっている。それを冷静に振り返りながら「これだけ負けていれば星を気にしても仕方ない。思い切った相撲を取るだけ。そうすれば星も傾いてくるでしょう」と切り替えを言い聞かせていた。