西十両11枚目の安美錦(40=伊勢ケ浜)が、来場所の十両残留が濃厚となる6勝目を挙げた。なかなか手をつかない荒鷲にしびれをきらし、一呼吸置いた2度目の立ち合い。左に動いて上手を取ると、振り回した遠心力を生かして豪快に上手投げ。

前日10日目の黒星を引きずらず、6勝5敗と白星を先行させた。仮に残り4日間全敗でも、番付降下は3枚までが一般的で、十両に残留する星となった。

立ち合いで左に動いたが、安美錦は「相手が、なかなか仕切りで手をつかないので何だろうな、と思っていた。(相手が)変化してきても、差しにきても、と思っていたら、バチンと思い切り外から(上手を)取れた。相手が浮いたから『ここで、このまま決めるしかない』と思って、思い切り振ったのがよかった」と、奇襲ではなく、相手をよく見て下した末の判断が奏功したと振り返った。

関取衆最年長でも、相手との駆け引きもある中での立ち合いに際して緊張したという。「40歳にもなって、まだ緊張するのかと思う。『もういいだろう』『何十年やっているんだ』と、自分をディスっていた。それでスッとリラックスできた。やっぱり大事にいきたくなってしまう。(5日目から9日目まで)連勝していたし。勝ち負けじゃなく、思い切り相撲を取ろうと、踏ん切りがついた」と、心の内を明かした。

十両残留については「残っちゃうの? 残ることを目指してはいない。勝ち越しを目指して、最後までしっかりと取りたい」と話し、気を引き締めていた。