最強横綱の壁に阻まれた貴景勝は、取り乱すことなく次戦を見据えた。

気迫あふれる取組から一転、支度部屋では呼吸を整え、落ちついた口調で言葉を並べた。

「もう、明日(12日目)をどう戦うか。気迫とか相撲内容とか、勝った先の結果論の裏付け。負けたら何も言うことはない」。鶴竜を圧倒した10日目に続く横綱戦。まわしを狙う白鵬を突き放し、張り手やはたきにも耐えた。押し込んで俵に足をかけさせたが、左上手を奪われるとなすすべはなかった。

大関とりの命運は、大関戦の結果と内容が全てを左右する。昇進目安は10勝以上で、8勝3敗の残り4番は3大関と平幕1人の予定。「簡単にいかないことは重々分かっている。その中で自分の信念を貫きたい」。まずは12日目、1月の初場所で完敗を喫した豪栄道とのリベンジマッチ。「精神をつくり直すことが大事」と引き締めた。